過敏性腸症候群 大腸内視鏡検査 消化器 函館美原

大腸疾患の期待される新しい薬剤
●過敏性腸症候群(IBS)の治療薬
 IBSは、慢性的な腹痛や腹部不快感に下痢や便秘などの便通異常を伴う疾患で、ストレスによって症状が悪化することが大きな特徴です。
 国内には約1200万人の患者がいると推測され、男性では下痢型が多く、女性では便秘型が多い傾向にあります。特に下痢型のIBSでは腹痛、便意切迫感や頻回の排便などで困る度合いも高く、学校や行事に行けない、旅行や外出を控える、電車やバスなどに乗れないなどの深刻な状況の方もいます。
 脳と腸は自律神経を通じてネットワークを組んでいます。脳がストレスを感じると、刺激は腸に伝わり腸の運動異常や知覚過敏が起きます。腸の不調は脳に伝わり、不安が増して症状がさらに悪化します。この悪循環がIBSの主要な病態です。
 今年の10月に国内で初めて、神経伝達物質であるセロトニンの働きを阻害することで脳と腸の関係異常を改善する薬剤が登場し、男性の下痢型IBS治療薬として認可されました。臨床試験において腹部症状と便通異常の両方を単独で早期に改善しました。
 これまでの治療薬は効果発現までに長期間かかる場合が多く、我慢できずにドクターショッピングを繰り返す要因にもなっていました。この治療薬は効果発現が早く、切れ味が良いため、男性の下痢型IBS治療の第1選択薬として期待されています。

●大腸内視鏡検査の検査薬
 大腸内視鏡検査を行うには、一般的な前処置法では2リットルの腸管洗浄液を服用しなければなりません。これが飲みづらく、途中で飲めなくなったり、吐いてしまったりすることもあります。挿入技術や内視鏡機器はかなり進歩しましたが、前処置法は数10年ほとんど変わらず、検査の普及の障害になっていました。
 昨年、錠剤タイプの腸管洗浄剤が発売されました。30〜50錠を1.2〜2リットルの水またはお茶で飲む方法です。15分ごとに5錠を200ミリリットルの水またはお茶で飲みます。経験的には30錠で今までの洗浄法と同等の洗浄効果が得られ、実際に使用した方からも好評です。
 大腸がんは近年急速に増えてきていますので、検査の普及に貢献できる検査薬として期待されています。

副院長・消化器科 : 能戸 久哉
「青いポスト」2008年12月12日号 掲載

     

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