ドクターコラムDoctor Column

消化管癌の検査法について

我が国では死亡原因の3分の1が癌で、消化管癌(食道癌、胃癌、大腸癌)が上位を占めます。基本的な治療法は外科的手術ですが、非常に早期の癌で発見できますと内視鏡的に切除することが可能です。 早期癌は自覚症状がありませんので、定期的に検査を受け続ける事が大切です。内視鏡検査以外に次のような検査法があります。

●上部消化管X線検査(胃癌検診)

バリウムを飲んで食道、胃、十二指腸のX線撮影をします。比較的簡便、低コスト、診断精度も高いですが、内視鏡切除のできる早期癌の診断は難しい事が多いです。

●胃癌リスク検診(ABC検診)

血液検査でピロリ菌の感染の有無と胃炎の進行度(胃癌のなりやすさ)がわかります。

●便潜血反応(大腸癌健診)

非常に簡便、低コストですが、精度はそれほど高くありません。進行癌の80%、早期癌の50%を拾い上げることが出来ます。

●下部消化管X線検査

肛門からバリウムと空気を入れて、大腸のX線撮影をします。内視鏡の挿入困難な方や術前の検査で行う事が多いです。

●大腸CT検査

肛門から大腸内に炭酸ガスを入れてCT撮影を行います。CT検査で得られた画像をコンピュータ処理し、あたかも大腸内視鏡を行った様なバーチャル画像を構築する方法です。内視鏡の挿入困難な方や術前の検査としても有用です。ほぼ苦痛や合併症がなく比較的短時間で終了します。放射線被爆、高コスト、小病変の診断精度が低いのが問題点です。

●大腸カプセル内視鏡

飲み込んだカメラ内蔵カプセル(直径11mm、全長31mm)が消化管を移動しながら撮影します。苦痛を伴わず、検査中は行動制限がありません。苦痛や羞恥心から内視鏡検査を受けたくない人にはいいオプションです。

●PET-CT

検査内容は省略しますが、ほぼ苦痛や合併症がなく全身をチェックできるのが最大の利点です。放射線被爆、高コスト、胃癌の検出感度が低い、小病変の診断精度が低いのが問題点です。

上記の検査で異常を指摘された場合、確定診断と治療方針を決定するために内視鏡検査を受けなくてはなりませんので、『最初から内視鏡検査を受けるのがベストの選択』と思います。

副院長: 能戸 久哉

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