ドクターコラムDoctor Column

深部静脈血栓症と肺塞栓症について

深部静脈血栓症は下肢の深部静脈に血栓ができてしまう病気で、この静脈の血栓が血管の中を流れ肺の動脈に詰まる病気が肺塞栓症です。

 エコノミークラス症候群は飛行機やバスなどで長時間座っていると、静脈の血液の流れが悪くなり下肢の静脈に血栓ができ、その血栓が肺動脈に詰まった肺塞栓症のことです。

 肺塞栓症は外傷、腹部や下肢の手術、出産時にも起こることがあります。また現代の日本人は、高血圧、糖尿病、脂質異常症の増加に伴い、血栓リスクが高まっているといわれています。

 深部静脈血栓症では下肢の静脈に血栓ができるため血液の流れが滞って足にむくみが現れます。
 足のむくみは寝ている時に軽減し、立っている時やいすに座っている時に悪化します。また、血栓発生部位の痛みや皮膚の色調変化(暗赤色調)が見られます。

 肺血栓塞栓症は、肺動脈の狭い範囲に起これば症状はありませんが、少し範囲が広くなると、胸痛や呼吸苦が出て、時に咳や血痰が出たりします。大きな血栓が肺動脈の本管に詰まるとショック状態を起こし、死亡することもあります。

 重症の肺血栓塞栓症は、起こってしまうと救命することができませんから、その原因となる深部静脈血栓症の予防を行うことが大切です。長時間乗り物に乗る場合は、足や足の指をこまめに動かし、時々膝の屈伸を行います。また適度に水分をとることも大事です。

院長:能戸 徹哉

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