慢性腎臓病とは
1. 腎臓の働き
腎臓は体の背中側に左右1つずつあり、腰より少し上、肋骨の下あたりに位置しています。そら豆のような形をしており、縦の長さが10cm程、横の長さが5~6cm程です。
腎臓の働きは血液をろ過し、老廃物を尿として体外に排泄します。さらに、塩分と水分の排出量のコントロールによる血圧の調整、体液量・イオンバランスの調節、赤血球をつくるホルモンの分泌、骨の発育に必要な活性型ビタミンDの生成を行っています。
2. 慢性腎臓病とは
腎臓機能の低下が3か月以上続いている状態を言います。
日本人の成人の約8人に1人が慢性腎臓病であると言われています。
腎機能の低下とは下記の(1)、(2)のいずれか、または両方を認める場合です。
(1) たんぱく尿などの尿異常、画像診断や血液検査、病理所見で腎障害が明らかである状態
(2) 血清クレアチニン値を基に糸球体濾過量を推定した推算GFR(eGFR)が60 mL/分/1.73m²未満である場合
3. 慢性腎臓病の原因疾患
慢性腎臓病の原因疾患は多岐にわたります。
代表的な疾患は糖尿病の合併症である糖尿病性腎症、高血圧が原因で腎臓の血管が動脈硬化を起こす腎硬化症、腎臓の尿をつくる場所の炎症である糸球体腎炎が三大原因です。
その他に感染症(腎盂腎炎)、先天性疾患(多発性のう胞腎)、腎癌、尿路結石症、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス等)があります。
4. 慢性腎臓病の重症度分類
慢性腎臓病は、推算糸球体濾過量(eGFR)と1日尿タンパク量(あるいは1日尿アルブミン量) を合わせたステージにより重症度が分類されます。
eGFRの結果でG1(正常)からG5(末期腎不全)に分類され、1日尿蛋白量(あるいは1日尿アルブミン量)の結果でA1(正常)からA3(高度蛋白尿あるいは顕性アルブミン尿)に分類されます。慢性腎臓病の初期はほとんど自覚症状はありませんが、重症度の上昇に従い、足や顔のむくみ、血圧の上昇、倦怠感や疲れやすさ、腎性貧血にともなう体動時の動悸・息切れなどを認めます。
下記の慢性腎臓病の重症度分類の表を参照してください。

5. 慢性腎臓病の治療
初期の治療は、慢性腎臓病の原因疾患(糖尿病や高血圧等)に対する治療が優先されます。
慢性腎臓病の治療では食事療法が大事な治療法になります。
基本はタンパク質制限です。摂取したたんぱく質は最終的に窒素化合物として尿中に排泄されるため、過度なたんぱく質摂取は腎臓のろ過機能に負担をかけます。残存する腎機能に合わせて制限するたんぱく質の量は変化します。
また、高血圧の方は塩分制限も重要になります。
薬物療法には原因疾患に対する薬物治療薬の他に、腎機能の低下を抑える薬物(SGLT2阻害薬、MR拮抗薬、球形吸着炭)、腎性貧血治療薬、浮腫を改善する利尿薬、高カリウム血症治療薬、高リン血症治療薬などがあります。
大きく腎機能が低下した場合には、体内にたまった老廃物や水分を人工的に排泄する方法として透析療法(血液透析、腹膜透析)があります。
院 長: 能戸 徹哉
