ドクターコラムDoctor Column

動悸を感じたら(2)

 動悸を感じたり、検脈で脈の不整を認めた時は、その原因が不整脈の可能性があります。
 ここでは主な不整脈について説明します。
 不整脈は脈が速い不整脈(頻脈)、脈が遅い不整脈(徐脈)、脈のリズムが不規則な不整脈(期外収縮)に分けることができます。

(1) 頻脈性不整脈

① 発作性上室性頻拍症

突然、心拍数が150~250回/分の頻脈になるため、動悸や胸部不快を感じます。
また突然、頻拍から正常な脈に戻ります。
発作が繰り返し起こる場合は、原因となる心臓の異常な部分に対して、カテーテルを使って焼灼または冷凍凝固を行い、不整脈を根治的に治療することができるカテーテルアブレーションを行います。

② 心房細動

心房(心臓の上の部屋)という心臓の一部が不規則に収縮し、脈拍は不規則な頻脈になります。心拍数は100~150回/分程度になります。
心房細動になると、動悸を感じるほかに、心機能が低下したり、心房内にできた血栓が血流に乗って脳の血管を詰まらせ脳梗塞を起こすことがあります。
多くの場合、薬物治療やカテーテルアブレーションが必要です。

③ 心房粗動

心房細動と似ていますが、心房粗動は規則正しい頻脈になります。心拍数は120~200回/分程度で、カテーテルアブレーションが効果的です。

④ 心室頻拍

心室頻拍は心室(心臓の下の部屋)から、心室期外収縮が3拍以上、連続して出現します。心室頻拍は心筋梗塞や心筋症を患っている方に発症する場合と、心臓に病気を持っていない方に突然、発症する場合があります。
心室頻拍が長時間持続すると意識消失や突然死の原因になることがあります。

⑤ 心室細動

1分間に300回以上、不規則に心室がブルブルと震える状態を指します。この状態になると心室が正常に機能しなくなり、全身に血液供給を行えなくなります。
数分以内に心停止と呼ばれる状態となり、呼吸は止まります。速やかに電気ショック治療を行う必要があります。
突然死の原因疾患として知られています。

(2) 徐脈性不整脈

① 洞不全症候群

心臓は、洞結節と呼ばれる部位で電気信号が自動的に生まれ、その信号が心筋に伝わると心筋が収縮します。
洞不全症候群はこの洞結節に異常をきたし、心拍数50回/分の徐脈や心拍数100回/分以上の頻脈を生じる病気です。洞結節の働きが低下し、3~5秒以上信号が止まると意識を失うこともあります。逆に洞結節の働きが亢進すると頻脈をきたします。徐脈と頻脈が合併する場合もあります。徐脈に対してはペースメーカーの植え込みが必要です。

② 房室ブロック

心房と心室のつなぎ目で電気信号が伝わりにくくなり徐脈になります。軽ければ経過観察で十分ですが、徐脈がひどい場合はペースメーカーの植え込みが必要です。

(3) 期外収縮

電気信号が正常な場所以外で生じる不整脈です。
電気信号の生じる場所の違いにより上室性期外収縮と心室性期外収縮に分類されます。一瞬どきっと感じたり、脈が飛んだりする場合は期外収縮を疑います。健康な心臓でも見られる不整脈で、治療せずに経過観察する場合が多いのですが、基礎疾患があったり、症状が強い場合は治療の対象になる場合もあります。

「動悸を感じたら(1)」はこちら

院長 : 能戸 徹哉

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